MHKスペシャル クローズアップ現在 「共に生き、分かち合う〜ダブル夫婦という生き方~」
MHKスペシャル クローズアップ現在 2029年5月10日(月)放送回分
「共に生き、分かち合う〜ダブル夫婦という生き方~」
桑田舞キャスター:幅広い年代から注目され、今や社会現象となっているダブル夫婦。二組の男女がお互いそれぞれを夫婦と認め合い、同じ家に住み、子どもを産み育て共に生活する。
その圧倒的な支持と広がりから「現実社会のゆがみを解消する切り札」との専門家の見方も出てきています。また、民法改正の動きも社連党を中心とした野党から始まりました。
なぜ今、ダブル夫婦は多くの人に支持されるのか。今回、埼王県のご自宅で今年で三年目というダブル夫婦が、テレビのインタビューに応じてくれました。
インタビューから見えてきたのは、ダブル夫婦という生き方、そしてその生き方に通じる信念でした。
桑田:今回はお忙しい中取材にご協力いただき、ありがとうございます。MHKの桑田と申します。よろしくお願いいたします。
一同:よろしくお願いします。
桑田:先に法律上の夫婦関係からおうかがいいたします。まず、こちらの女性のご主人は?
小林圭介:はい、私です。
桑田:ということは、残るこちらとこちらのカップルがご夫婦ということですね。では小林さんから簡単な自己紹介をお願いいたします。
圭介:はい。小林圭介と申します。年は三十八歳で、都内のプロダクションで映像制作の仕事をしています。
桑田:ありがとうございます。では、次は奥様お願いします。
小林智里:はい。小林智里です。年は夫の一つ下で、専業主婦です。週に四日マツケヨでパートをしています。
桑田:ありがとうございます。では、次はそちらの男性の方。
安川祥太郎:はい。安川祥太郎と申します。年は三十五です。去年まで電機メーカーの営業をやってたんですが、リストラにあって今は一応無職です。副業でやっていたWebライターの仕事は続けてるので、もうそっちが本業になってちゃってるんですが……。
安川優紀:妻の優紀です。年はご想像にお任せします。Webデザイナーをしています。新宿にオフィスがあって、一応代表をしてます。
桑田:みなさま自己紹介ありがとうございました。次にご夫婦同士のご関係をおうかがいしてもよろしいでしょうか?
優紀:智里とわたしが高校時代からの親友で、祥太郎と圭介は大学の先輩後輩。たしか演劇サークルだったっけ?
祥太郎:そうそう。圭ちゃんが役者で俺が脚本と音響。ま、思いっきり素人芝居ですけど。
圭介:そんなん言うなよ。お客さんも結構来てたやんけ。
智里:そうそう。そこでお客さんというか、お芝居観に行ってわたしがすごい面白いって思って、友達の優紀も誘ったのがきっかけです。
祥太郎:で、役者が客に手を出した、と。
圭介:おいおい、ちゃうわ。なに言うてんねん。
桑田:そのような経緯で四人はお知り合いになられたということですね。それで、ダブル夫婦という話が出たのはいつ頃ですか?
祥太郎:いつだったかなー。ちーちゃん(*編注 智里)と圭ちゃんが結婚したあたりじゃなかったかな。
優紀:そうそう。そこでうちらも結婚しよっかって話になったんだけど、どうせだからダブル夫婦がよくない? って思って。
桑田:祥太郎さんはそのダブル夫婦という話には賛成だったんですか?
祥太郎:いやいや、そんなわけないでしょう。はじめは何だそれ? って思いました。圭ちゃんもちーちゃんも仲のいい先輩だし友達だったけど、えっ、ちょっとってなりましたよ。
桑田:智里さんに対して恋愛感情はない、と。
祥太郎:ないって言ったら嘘になりますかね、あるっちゃありましたよ。じゃないとダブル夫婦になってないですしね。でも、それは、……そういう感情は持っちゃいけないものだと思ってましたから。
優紀:わたしも圭ちゃんに対しておんなじような好きっていう気持ちがあったし、それと同じくらい祥ちゃんのことも好きでした。で、お互いがそう思ってるんだったら、とりあえずうちらが結婚して、ちーちゃんとことダブル夫婦になればいいんじゃない? って考えました。
桑田:小林さんご夫婦はそれに対してどういうお気持ちだったんでしょうか?
智里:わたしは反対でしたね。正直、何言ってんの? ってはじめは思いました。
圭介:いや、俺も。ダブル夫婦ってなに? って感じでしたよ。
優紀:そうそう。すごい拒否反応だった。もう、縁切られるかと思うくらい。でも智里が祥ちゃんのことを悪く思ってないっていうか、すごい気が合うってことは分かってたし、だったらもうダブル夫婦でよくない? って二人を説得したんです。
圭介:まあ、俺も優ちゃんのこと嫌いじゃなかったし、まあ、魅かれる気持ちはあったっていうか……。
桑田:嫉妬とかそういうお気持ちは?
優紀:わたしはありません。祥ちゃんと圭ちゃんが智里と仲良くしてても別に何とも思わないです。
祥太郎:わたしもないですね。まあ、っていうかどっちもどっちですから。
圭介:俺はどうかなー。ちょっともやもやはするけど。
祥太郎:え、ほんまですか? それはいつ? たとえば。
圭介:いや、そりゃ、俺が仕事行ってる時にお前が智里とその、……とか思う時はあるよ。
祥太郎:で、もやもやするんすか?
圭介:そりゃするだろ。智里とだけじゃなくて、優ちゃんともしてると思うと、男としてはそりゃ、まあ……。
桑田:智里さんはどうですか?
智里:わたしは特には。優紀はなんていうか魅力的な女性だし、可愛くてスタイルもいいから圭ちゃんがひかれるのもよく分かるし。
祥太郎:俺はちーちゃんのそういう控えめなところが好きなんだよね。
優紀:控えめじゃなくてすみませんね。
桑田:では、智里さんは嫉妬心があるということですか?
智里:いえ、特にないです。もうそれが当たり前というか、そういうものだっていうふうに思ってるので。
桑田:当たり前?
優紀:ダブル夫婦ですから。お互いに仲良くするのは当たり前です。
祥太郎:嫉妬とか言ってたらやってらんないよね。
桑田:そのいわゆる夫婦関係とかはどのようになさっているのでしょうか?
優紀:セックスのことですか?
桑田:はい。
優紀:基本的には自由です。お互いどちらとしてもいいことになっています。避妊はしていません。わたしは子どもが欲しいと思っていますし、それは祥ちゃんの子でも圭ちゃんの子でも構わないと考えています。
智里:わたしも同じです。というより、それがダブル夫婦をしている一番の理由です。子どもが欲しいんです。でも、ずっと出来なくて、祥太郎さんの子どもだったら圭ちゃんの子じゃなかったとしてもいいかな、って。
桑田:じゃあ、男性陣は、その、お二人とされるということですか?
祥太郎:ええ、そうっすね。
圭介:いや、俺はほとんどしてへんで。忙しいし。そのなんか、罪悪感っていうか…。
優紀:前はしてたじゃん。
圭介:いっぺんな。もうでも、俺そういうのええかなって。
智里:そうなん? もっとしてんのかと思ってた。
桑田:祥太郎さんはどうですか?
祥太郎:してますね。昼間ちーちゃんとして、夜に優ちゃんが帰ってきたら優ちゃんとまたしてみたいな感じです。
圭介:まぢか? ほんまに? むちゃむちゃやな。
優紀:いいじゃん、別に。ダブル夫婦なんだし。
桑田:そのあたりのところは智里さんはいかがですか?
智里:わたしは子どもが欲しいからしてるだけです。
桑田:では、子どもが出来たらこの関係は終わらせるということですか?
優紀:一緒に育てていくことになるでしょうね。ダブル夫婦ですから。
智里:わたしは出来てみないと分からないです。子どもにとっていい環境かどうかというのもあるので。
桑田:男性陣はいかがですか?
祥太郎:四人で育てていければって思ってます。手が空いてる人が家事とか育児とか、たとえば赤ちゃんのおむつ替えとミルクとか四人いれば、誰かしら手が空いてると思うんでワンオペとかそういうのとは真逆の最強の子育てになるかな、と。
圭介:いや、俺は子どもが出来たらちょっと……。
桑田:現場からは以上です。
[了]